乳腺症と言われたが…
乳腺の外来には日々様々な症状を感じて受診される方いらっしゃいます。乳房に痛みやしこりを感じて心配になり、病院に行ってみたが、診察の結果「何も異常はありませんよ。あなたは乳腺症です」と言われた経験を持つ方は、たくさんいらっしゃると思います。でも、乳腺症ってなに?と疑問に思われた方も多いのではないでしょうか。
たった3文字の「乳腺症」ですが、これは様々なものが含まれる広い概念です。乳腺の中にある正常な細胞に、女性の体内のホルモンの変動が様々な形や程度で影響を与えるのが原因とされます。
これによって、正常の細胞が乳房内で部位によりアンバランスに増えたり、細胞自体がやや強い変化をしたりします。現れる症状として不快な痛みや様々な硬さのしこりを生じ、時には乳頭から異常分泌を呈することもあります。個人差はありますが、多くの成熟女性で認められる乳房の変化で、一般に病気の範疇には入れていません。
例えば、ご存知の方が多い「のう胞」も乳腺症を構成する一つの要素です。乳房の乳管内にある分泌物が一か所で停滞して正常の乳管が膨らんでいる状態で、通常は治療は不要です。一方乳腺症の中には、いわゆる「正常からの逸脱」と位置づけられる強い変化もあり、画像検査や細胞診で時には乳癌との鑑別を要するような紛らわしいものがあります。また将来的に周囲で乳癌が発生する可能性が通常の乳腺に比べやや高めとされる変化もあります。
乳腺症変化が強い女性は、そうでない方に比べ触診も画像検査もより複雑で、病変の姿が背景の乳腺症変化に埋もれて見えづらくなります。最も早期の乳癌である非浸潤癌(0期)の場合、触診や画像が乳腺症と似ていることも多いのです。
だからこそ、日頃からの自己検診はもちろん、定期的に乳腺専門外来を受診し、画像による検査を受けて、乳房のわずかな変化を見逃さないことが大切なのです。
